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花の枝にもちりとてちん 〜三味線ブログ〜

土佐の高知で三味線の演奏・指導をしている花枝のブログです

三味線…というより、小唄がプロ並みに上手い宮本信子

三味線 三味線-雑記

こんにちは、花枝です。

 

ドラマや映画の楽器演奏…特に三味線のシーンは、私すごく見てしまうのですよ。

そんなに三味線が出てくることはないのですが、たまに出てくるものを見るとやはり嬉しいです。

そんな中で、「ふぁあ?!」と思うぐらい上手かった女優さんの話です。

 

ドラマや映画の楽器の音、プロはやっぱり分かります

何かしら楽器に通じている人だと、ドラマや映画での演奏シーンで

「あ、これ弾いているな。」

「いや、これは完全弾いてないだろ。」

というのがある程度は分かります。

 

たまに俳優さんが本当に弾いているものもあります。それはやはり本業ではないので、そこはお愛嬌…まあごく稀にお上手なものもあると思います。

基本的には手だけ別撮りだったり、演奏シーンに音を被せていたりするのですが、それっぽく見せるのも俳優さんのお仕事であるわけです。

でも、プロでなくともそれなりに通じていると…分かるのでございます。

 

 

マイナー楽器の三味線はどうか?

ピアノやヴァイオリンなど、メジャーな楽器は、それはもうドラマや映画では一流の演奏の音を使っています。やはりメジャーなものは耳にされる機会も多く、音の良し悪しがある程度分かってしまうので、その辺りは気をつけているな、とは思います。

 

三味線になると、どうでしょう?

ある程度のドラマや映画なら、それなりの音を使っています。プロの音だな、と感じる音です。

 

ただ、ごく稀にですが

「?!?!?!?!?!」

と思うような音色の三味線も聞くことがあります。

 

それも、素人が弾くシーンならまだ分かりますが、プロである芸者さんが弾くシーンでそれだと…ちょっと苦笑いになってしまうようなことも、正直なところ…あります!

 

 

朝ドラ「あさが来た」の玉木宏はどうだったのか?

最近の例を出しますと、2015年に放送されていた朝ドラ「あさが来た」では、玉木宏が三味線を弾くシーンが何度も出てきていたそうですね。

私はこの年はアメリカで働いていましたが、職場の上司からこのような質問をされました。

 

「ねえ、朝ドラで玉木宏が三味線弾いているでしょ?

あれは花枝から見ると、上手いの?ちゃんと弾けているの?

 

…まず、私の住んでいる寮の部屋からは朝ドラが見れない。それ以前に、私が朝ドラを見るという習慣がなかったのです。その後、youtubeなどをあさり、何とか動画を見つけました。

 

結論から言うと…まあ、よくお稽古されているな、という感想です。別に玉木宏が演じた若旦那は三味線のプロでもないですし、単に三味線のお稽古が大好きな人ですよね。

よく頑張ってお稽古されたんだなあ、という印象でした。

 

 

三味線の演奏も難しいが、唄はもっと難しい…!

玉木宏の三味線も、相当練習されたと思います。三味線は三味線で本当に大変なのだと思うのですが、それ以上に大変なのは「唄」です。

邦楽の声の出し方は声楽とも違い、現代のポップスとも違い、演歌とも違います。

 

そんな中、本当に短い時間しか映されていないのですが、伊丹十三監督作品「あげまん」に出てくる宮本信子の三味線の弾き歌いシーンは見事でした。

 

 

映画「あげまん」の主人公ナヨコ演じる宮本信子

「あげまん」で宮本信子はナヨコという、中学時代に芸者の置屋に預けられて育った女性を演じています。

…つまり、三味線の腕前はほぼプロに近い女性を演じています。

 

というか、もうこの映画「あげまん」そのものが、宮本信子の芸の幅を楽しむための映画のようなものなんです!日本舞踊も三味線も唄も、全部一人で、自前でこなしているのですから…!!!

 

 

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作中の三味線のシーンは芸者時代ではなく、大人の女性になったナヨコが少し怒りながら三味線を弾いているシーンです。

 

ここでナヨコは小唄を弾き歌いしているのです。もちろん映像に出てくるのは本当に短い…15秒ぐらいだと思います。それぐらいなのですが、私は

「っふぁああああ?!」

と、飲んでいたお茶をこぼすほどの衝撃を受けました。

 

ナヨコ、もとい宮本信子は…とっても三味線も唄もお上手だったのです。

そりゃもう、上手かったんです。

 

あと怒りながら三味線を弾いているシーンもあって、そこもちゃんと弾いているんだなあ〜!と思いながら見ていました。

 

 

後日談:宮本信子さんご本人に実際に聞いてみた

この話には後日談がありまして…。

実際に宮本信子さんご本人にお会いして、三味線のことを伺いました。

 

 

私は伊丹十三監督が大大大好きでして(映画はもちろん、エッセイも秀逸です)、年に一度は愛媛県松山市にある「伊丹十三記念館」に足を運んでいます。

 

毎年5月15日は伊丹十三監督のお誕生日でして、この日の前後1〜2日は宮本信子さんが記念館に来られるのです。

 

 

もう5年ほど前になりますが、私は5月15日に記念館へ足を運び、カフェで一息ついていました。

そうすると、そこに…宮本信子さんが…いらっしゃったんですね。しかも館内のカフェで、ごく少数の身内と映画関係者の方々と、小さいケーキを囲んで伊丹監督のお誕生日を祝われていたんです。

カフェには宮本さん御一行と、老夫婦と私たちだけ。ケーキのろうそくを消し、カットしたケーキを私たちにも分けてくださいました。

 

その時に、思い切って聞いてみました。

 

「あっあのあのあの!!!!…映画「あげまん」の小唄、最高でした。私も小唄のお稽古しております。宮本さんもお稽古されているのですか?」

と。

 

そうすると、たいそう驚かれていましたが、小唄のお稽古を長く積まれていること、名取さんであることなどお話下さいました。

 

そりゃー、上手いはずだよ!!!!!!

プロじゃん!!!芸の幅を感じずにはいられないよ!!!!

 

…というわけで、図らずも今日は十三日。大好きな伊丹十三、そして主演の宮本信子の見事な三味線を思い出さずにはいられないのであります。